とどの詰まり

そんなに意味がない

温泉

都市が水没していた。

水深は20メートル程度で、水は透き通っていた。

底には家屋、乗用車、電柱、畑があって、白い人(人型のシルエットをした白いかたまり)が生活していた。

 

自分はヤングジャンプ2冊分くらいの大きさのビート板を腹の下に据えて、両手で水を掻きながら前進していた。

白い人たちとは無関係だった。

動機は不明だが温泉を目指していた。温泉という言葉だけは知っていたが温泉が何かを知らなかった。

 

高架に沿って前進しているとラウンドアバウトのような形状をした場所に差し掛かった。

渦巻き状に速く流れるプールのような場所で、中央には3メートル程度の高さのイスがあり、監視員のような人が座っていた。

その人から、①この先に海があるので淡水と混ざらないようにするためこの施設が必要であること、②温泉とは地下熱で温められた海水が海底から噴き出す海域であり危険が伴うこと、③温泉には黒い人(人型のシルエットをした黒いかたまり)が住んでおり、黒い人は海底から噴き出す海水に運ばれてやってくる古代生物であることを聞いた。

温泉への道のりは長く険しいようだった。